盛りだし式わんこそばの由来
平泉わんこそばの由来
昔からこの地方は、そばが常食の一つであり、したがってその調理と食べ方は、春夏秋冬の季に合せ、郷土独特の風趣を、多様につくり出して居ります。特に「わんこそば」は、手打ちそばの切りたてを、ゆで揚げたものが、少時の間にのびて、風味を減ずることを惜しんで、一時に大器に盛り入れず、小さい椀に盛り、食べるにしたがって盛り替えする仕方であり、それに使用する椀を、地方の方言の「わんこ」の呼び名で、残されたものであります。
元祖盛り出し式
「平泉わんこそば」の名称
生活のゆるやかであった昔の私達の先祖は、素朴な食生活の中でも、その特質を生かし、ゆったりした気分で、それぞれの風味を楽しんだ様ですが、現代は日々その余裕がありません。
しかしその明け暮れの中でも、工夫の仕方で、当時の気分を味わっていたゞけるものと信じ、種々構想を重ね、こゝに当店は「盛り出し方式」の中に、わんこそば本来の由来と、意義を偲ぶ独特の方式で、その味覚を提供申し上げる次第です。
駅前芭蕉館では、豪華優美を誇る伝統の秀衡椀と、器具一式に、それぞれ格調豊かな創意を凝らし、藤原文化の古都「平泉」の名を冠した、独創の「わんこそば」を発案致しました。
「平泉わんこそば」の
召し上がり方
先づお客様の前には、鮪の山かけ、なめこおろし、筋子、鰹節、のり、ねぎ等の数々のお薬味が出されます。
別の盆の「わんこ」に盛られた「おそば」を、素早くお手許の秀衡椀に移し入れ、お好みにしたがって、お薬味を交互に加え、一口に食べるのがこつです。1セット24杯を興味深く召し上がれます。
それに地方産の、香のものも色沢香気を添え、これで豪華と素朴、しかも美味満点の、平泉わんこそばの郷愁の味覚は、得難いものと、どなた様もこの道の通になられましょう。
何とぞこの地に御来訪の御客様には、平泉の名と共に、この芭蕉館創案「平泉わんこそば」を、旅のみやげとして、お心に留めていたゞければ、幸甚と存じます。